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コラム

ゆるアドリブ習得のためには「ストック」「オリジナル」2つのアプローチ方法がある

バイオリンやチェロ、ヴィオラがアドリブを習得する方法

今やジャズの理論書は数多く出版社されておりまして、それこそ「初心者がアドリブできるようになるには?」といった切り口の書籍も、様々な楽器に向けて執筆されております。

そういった書籍やレッスンなどを通して、元は五線譜主体のクラシックマンであった我々メルポも、ジャズ理論を学び実践してきました。

そして、自らワークショップなどを開催してきた中で、同じクラシックマンでも理解し取り組める内容にまとめ上げていくのが、本シリーズです!

本記事では、前回提示した、我々メルポの考える「ゆるアドリブ」の構成要素について、もう少し深堀りしたご説明をいたします。

kimm

始めに全体像を理解しておくことで、今後の記事がバツグンに読みやすくなること間違いなし!

まずは、前回お見せした今後の記事一覧を改めてご覧頂きます。

このマインドマップが示す記事一覧が、我々メルポの考えるアドリブの構成要素そのものなのです。

アドリブ奏法のアプローチ

kimm

アドリブには、大きく2通りのアプローチがあると我々は考えます。

①ストック

②オリジナル

ストックとは?

ストックとは、「誰かが演奏したフレーズ」「誰かが考えたフレーズ」を、そのまま自身の引き出しに閉まっておき、出し入れできる状態にしておくことを指します。

ここだ!と思った場所で引き出しから即座に出すことで、憧れのアーティストが奏でたあのフレーズを演奏できてしまいます。

…それってアドリブと言えるの?と思われそうですが、そのまま弾くにも曲が同じキー(クラシックでいえば同じF-dur、など)とは限りませんし、フレーズを少し崩すなどのアレンジを施したり、本当にストックを適用することがTPO的に正解かどうかなど、考えることは沢山です。

譜面には書かれておらず、何を演奏するのか奏者に委ねられている局面において、【自分で考える】行為が、まさにアドリブ的な側面と言えます。

ただ、自分に与えられたアドリブタイムの全てをストックで弾くのはコスト面で得策ではなく、必ずや限界が訪れます。

遅かれ早かれ、次のオリジナルの道に活路を見出すことになるのではないでしょうか。

オリジナルとは?

オリジナルとは、自分でフレーズを生み出すことを指します。

「突然のヒラメキ」や「メンバーの演奏から想起された、明日のライブのためにこのフレーズを弾くことにしよう!」は、分類としてはストックにあたります。

アドリブを主とする世界線では、演奏する曲目が予め決まっていないケースも多いです。

例えばジャズセッションでは、参加者が弾きたい曲を順番に演奏していくため、何の曲が出てくるか分かりません。

スタンダードや有名なポップスならまだ良い方で、全く知らない曲や当日に渡されたメンバーのオリジナル曲など、とにかく【その場で何とかしないといけない!】場面において生み出すフレーズを、オリジナルと定義しました。

もう少し踏み込んでみる

ストックとオリジナルは、さらに2つずつの領域に分解できます。

サンプリング

サンプリングとはヒップホップやエレクトロニカで用いられる手法で、「既存の楽曲を部分的に録音/コピーして自身の楽曲に使う」ことを意味しますが、ここではいわゆる耳コピのことを指します。

数々のジャズジャイアントの用いたフレーズを耳コピし、自身のエッセンスも加えながらひとつの武器に昇華させます。

同じ曲にそのまま使っても良いですし、別の曲で使っても、その組み合わせ方によっては「おっ!」と思わせることができるでしょう。

フレーズ集

どんなジャズジャイアントにも、その人らしさがフレーズに現れるものですが、逆に「誰でも1度は使ったことのあるお馴染みフレーズ」のようなものも数多く存在します。

色々な演奏を聞いていてもそれらを見つけることはできますし、あるあるフレーズ集として書籍化も多くなされております。

これもひとつの引き出しとして持っておき、次の一手に向けた準備期間などで「とりあえずこれで繋いでおくか!」的な使い方があるでしょう。

手癖として体に染み込ませておくのも一つの手です。

理論に沿った音

これが、「ジャズって難しいよね…」と挫折してしまう一番の理由だと思います。

クラシックは、その作曲家の生まれ育ち、曲の成り立ち、時代背景、曲分析、楽典勉強などをせずとも、とりあえず弾くだけならとてもハードルの低いジャンルです。

というのも、楽譜がありますので。

楽譜に書かれた音符を追いかけるだけで曲を演奏できるという、敷居の低さが五線譜文化の最大の武器です。

勿論、【音楽として成立している】レベルまで高めるのであれば、途方もない道のりになるわけですが、はじめの一歩を踏み出しやすいのが強みなのです。

対してジャズは、1歩目のハードルが高いイメージがあります。

コードを読めなくてはいけない、ジャズ理論を知らないといけない、そこで初めて音を出せる。

そんなイメージをお持ちではないでしょうか。

勿論それも大事なので、本シリーズでも簡単には触れる予定ですが、この路線もあくまで1つのアプローチでしかなく、他にもあることはマインドマップでご確認頂けると思います。

オートメーション

ここは、本当に記事化できるかどうか怪しいです。笑

よく聞くことですが、芸術は、模倣から始まります。

アナタも、お気に入りの奏者のように弾いてみた、モノマネしてみた、気分に任せて弾いてみた、感情の赴くままに掻き鳴らした、そんな経験はありませんか?

レジェンドをインストールして演奏する、そのジャンルのモードに入る、ゾーン??などなど、理論を超越したアドリブ方法もあると考えます。

これは本当にどうなることか。。

お楽しみに!!!

今回のまとめ

・ゆるアドリブができるようになるための行動には、「ストック」「オリジナル」の2つのアプローチ方法がある

ストックとは、他者の演奏を盗んで自分のネタ帳に貯めていくこと

オリジナルとは、「フレーズを自分で考える」こと。それに役立つのが、コードやスケールなどの知識

あなたも弾きに来ませんか?

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この記事を書いた人
kimm
kimm
1984年生まれ。脱クラしたヴィオラ弾き/ビートメイカー/育児er。ジャズ専門ノープラン系弦楽四重奏団「阿佐ヶ谷ファンキーボーイズ」、アンビエント系インストデュオ「bishopsfinger」、ゲーム音楽系弦楽四重奏団「神ゲーカルテット」に所属。"弦楽器=クラシック"というこれまでの常識に変革を起こし、「どんな楽器で何やったっていいじゃない!」という音楽的ダイバーシティを実現するべく、都内を中心としたワークショップ運営や演奏、当サイトでの情報発信など日々活動中。