チェロは、デっカいバイオリンであり、小さいウッドベース。
バイオリンのようにメロディを奏でることもできるし、ベースのようにサウンドの土台を固めることもできる。
ずるくないですか?(私はバイオリン弾きです)
クラシックの分野では、ヨーヨーマのように弓をたっぷり使って豊かに歌い上げるイメージですが、近年そんなチェロのイメージを覆すような「ジャズ・チェロ」ムーブメントがじわじわ広がって来ています。世界中のクリエイティブなジャズチェリストによって、クラシックでは絶対にやらないであろうテクニックやスタイルが日々開発されており、チェロの魅力、可能性が伸びに伸びています。
とはいえ、ジャズチェリストの数はまだまだ少ないです。興味を持っても、そもそも周りに手本とすべき人がいない…
そんな方にお伝えしたいのが、この先進的な10人のチェリストの存在です。どのプレイヤーも演奏はもちろん、ジャズ・チェロの普及活動にも力を入れている方々ばかり。
お気に入りのアーティストを見つけたら、是非追いかけてみてください。
マーク・サマー
ジャズチェロの巨匠。
クラシックの奏法とはかけ離れた、ベーシストのような指使い。
弓を持たせれば、おもちゃで遊ぶように自由に動かし、多彩な音が飛び出す。
グラミー賞をとったジャズ弦楽四重奏団「タートルアイランドカルテット」の初代チェリスト。
彼が作曲した無伴奏チェロ曲「julie-o」は世界中のチェリストに愛され、カヴァーされまくっています。わりと激ムズですが^^;
ステファン・ブラウン
THE”アイデアマン”
チェロをギターみたいに持って弾いてみたり、楽器をカホンのように叩いてパーカッショニストになったり、”チョップ”を駆使した伴奏をしたり等、チェロという楽器のポテンシャルをこれでもかというくらいに引き出しまくっている。
アドリブソロはもちろん最高にカッコ良いし、たぶん彼は地球上のどんな相手とでも、すぐにセッションできるでしょう。犬も猫も、ミミズだってオケラだって、躍り狂うでしょう。
マヤ・ベルシッツマン
チェロ弾き語り美女。
「Maya Belsitzman & Matan Ephrat」というチェロ&パーカッションのデュオユニット活動がメイン。
ベースラインを弾きながら歌い、間奏では歌心満載のチェロソロが炸裂。
クラシックで培った圧倒的技術力がうかがえる、うっとりな音色。そして時にはエフェクターで歪ませたロックテイスト。ジャズを切り口に様々なジャンルを楽しみ尽くすマヤ姉さん、惚れます。
ラシャド・エグルストン
破天荒過ぎるチェリスト。
バークリー音大を出て、あのジャズバイオリン界の巨匠「ダロル・アンガー」とユニット組んでグラミー賞にノミネートされたエリート。のはずなんだが、何この中学生みたいなノリwww
楽器弾きながら歌って走ってウェーイしてるのが彼のスタイル。若手芸人ばりのフットワーク。芸術です。
マイク・ブロック
「チェロは座って弾くもの」という常識を、彼は知らない。
ヨーヨーマに”21世紀のチェリストの理想形である”と評された、自由過ぎるチェリスト。
歌心あふれるメロディから、安定感抜群のベースラインまで、多彩な音が魅力。ジャズだけでなくアイリッシュやブルーグラス等トラッド系ジャンルも最強。
こみてつ
ジャズはもちろん、オールジャンルのチェリスト。
そして新しいチェロ奏法を開発しまくってる。スラップ、タッピング、カッティング等、ギターやベースで使うようなテクニックをチェロで弾く方法を編み出し、YouTubeで解説してくれている。
演奏活動のみならず、弦楽器用マイク製作や劇伴音楽制作、弦楽器雑誌「サラサーテ」での記事執筆など、もういろいろやっちゃってます。一家に一台欲しい。
ジェイコブ・セーケリー
チェロの新時代を切り拓く、モダンジャズ・チェリスト。
彼の見どころは”ピチカート奏法”。張りのあるクリアなpizzは、華やかでグルーヴィー。
アヴリルラヴィーンなどビッグネームと共演しながらも、教育・普及活動にアツい。
ヨーヨーマやマークサマー、マイクブロックらと共に、新時代のチェロ練習曲集「5 Progressive Studies」を作ったり、ロサンゼルスに弦楽器の即興演奏スクールを作ったりと、チェロの可能性を押し広げている。
アルティョム・マヌキアン
ファンク/HIPHOP寄りのジャズチェリスト。
パンチの効きまくったpizzはめちゃくちゃグルーヴィーだし、失礼ながらちょっと顔コワイですが、彼のarcoは実にあったかい。クールでファンキーなバンドサウンド、アートな世界観の無伴奏ソロ、ピアノとの美しいデュオなど、様々な編成でチェロの魅力をたっぷりと表現している。
グレッグ・バイヤース
とにかく歩く!歩きまくるチェロ。
チェロはもはや体の一部。5本目の手足。ジャズやらファンクやら様々なジャンルをカバーし、歌うし、弾くし、pizzるし、チョップもする。
また「NS design」というブランドのエレキチェロを使っており、エフェクターを使用したギターみたいなサウンドも魅力。
先にご紹介したマイクブロック氏然り、チェロが座って弾く時代は終わりつつあるのでしょうな。
弾きに来ませんか?
まとめ
クラシックでチェロを弾いてきたみなさん、そしてチェロを始めようとしているみなさん。
是非、今回紹介したような”非クラシックなチェロの世界”に足を踏み入れていただければ幸いです。