ジャズヴァイオリン、ジャズチェロときたら、当然ジャズヴィオラと来るわけです。
お待たせしました!ノンクラシック系ヴィオラ奏者が選ぶ、ワールドワイドなお勧めジャズヴィオラプレイヤーのご紹介です!!
まずそもそも、ジャズヴィオリストって存在するの?という話。
今また社会現象になりつつある某汎用ヒト型決戦兵器アニメでもヴィオラ弾きが出てこないあたり、そもそもヴィオラ弾き自体が陰にコッソリ咲く儚い花ではあるものの、ちゃーんと居ます、ジャズヴィオリスト。
ただし圧倒的に人口が少なく、本記事でも5人を挙げるのが精一杯で、しかもヴァイオリンと二刀流プレイヤーも多いという。悔しい。
ただ、音の立ち上がりの遅さや張力からくるもったりとした音のキャラクター、ちょっと右手の力を抜けば掠れ枯れた音など、いい意味で陰鬱さを表現できるヴィオラは、実は弦楽器の中で最もジャズにピッタリなサウンドなのです!!
また、生粋のヴィオラ弾きならヴァイオリンよりも太い音をかき鳴らすこともでき、ダイナミクスも幅広し!!
そんな表現力豊かなヴィオラを、ノンクラシックという舞台で自在に操る個性的なプレイヤー達をご紹介します。
ダニー・サイデンバーグ(Danny Seidenberg)
アメリカの老舗ジャズ弦楽四重奏団であるタートルアイランド・ストリングスカルテット。
長い歴史の中で幾度もメンバー変遷があった中、ヴィオラ枠において、尖りに尖ったヤンチャボーイの彼。
動画にもあるバッハズランチをアレンジし、右手のアーティキュレーションが生み出す豊かな語法は、まさにジャズヴィオリスト。
楽しく弾くってやっぱりこういうことだよな~って思う、素晴らしい演奏です。
昔、ここまでとは言いませんがノリノリで弾いたら、お客様に笑われたこともありましたなぁ。。
ちなみにこのアレンジ楽譜、普通に買えますので、クラシック奏者もレパートリーにどうぞ!
ミハウ・ザボルスキ (Michał Zaborski)
世界一カッコイイヴィオラのリフっていったらこれ!
自分で作曲し、自分でリフを掻き鳴らし、自分でソロをとり、自分で展開させていく。そんなん当たり前っしょ?
って、そんなヴィオラ弾き、今までいました??笑
ヴィオラ自体、こんなにもバッキングもソロもいける楽器だと、だれが思ったでしょうか!
長身が繰り出すパワフルな演奏は、日本国内では比較的穏やかと言われる(?)ヴィオラ奏者の希望の光です!
私もこの曲にチャレンジすることありますが、この速度出せまへん。。
ジェレミー・キッテル(Jeremy Kittel)
おすすめヴァイオリン奏者に続き、2度目の登場!
ダニーと同じく、タートルアイランド時代の演奏をご紹介。
なんだろう、この、エレキっぽいサウンドは。
楽器はもちろん、彼のバックグラウンド的にはトラッドが色濃いはずなのに。
奏法に着目すると、音の立ち上がりで弓を直線的(等速)にストロークしているのが多め?
それゆえ、無機質なサウンドが生まれているように思います。抑揚が少ないというか。加えてビブラートも抑えめ。代わりに、ドライブかけるべくところはかける。
つまり、音に乗せる人間味の濃淡のコントロールが妙技ってことですな!
マット・マネリ(Mat Maneri)
アメリカのベテランの1人。
微分音を用いた即興的ジャズをプレイするサックス奏者を父に持つ彼もまた、同様に微分音即興ジャズ奏者としての地位を確立しましたとさ。
音選びとしてだけでなく、クラシックの道で培った確かな技術から繰り出されるダイナミクスやフレージングが、非常に緊張感のあるアバンギャルドな即興演奏を生み出しておるのです。
語彙力豊かなのは、バロックとジャズとパンクを愛するが故なのか!
いやぁ、何だかんだクラシックで積み上げるモノってデカいんだなぁとつくづく。。
ウーネ・ファン・ゲール(Oene van Geel )
弾き語りって、案外難しいじゃないですか。歌でも楽器でも、別々の音を正しく取らなければなりませんので。
慣れないうちは、どちらかに集中してしまうと片側が疎かになって、ハチャメチャなことになることもしばしば。
で、たまにアドリブしながらそのフレーズに合わせたスキャットを入れるジャズ奏者ってのがいるわけですが、高速でクリエイティブで鬼ムズなアドリブフレーズにスキャットを乗せることができるのが、オランダの彼です(白目)。
どうなってるのよ。。教えてよ。。
まとめ
クラシックでヴィオラを弾いてきたみなさん、そしてこれからヴィオラを始めようとしているみなさん。
是非、今回紹介したような”非クラシックなヴィオラの世界”に足を踏み入れていただければ幸いです。